「泥や」なる仕事
2008年12月5日
「泥やさん」
なる職業の人がいるとは知らなかった。 左官屋さんの塗る壁土を練って現場に持ってくる仕事。 昔はその現場で左官屋さんが、その土地にある粘土や赤土を掘ってきて、切りわらを混ぜ、水でえっちらほっちら練って塗ってたんだろうけど、 なんせ、この練るという作業は、すごい重労働! しかも家一件分の壁土ときたら、途方もない。 時代は機械化分業制。 その壁土を練る職業なるものができたようだ。 一時期は、建築ラッシュで、こっちの現場、あっちの現場と猫の手も借りたいほどだったらしい。 今では、土壁を塗る家なんて、ほとんど見かけない。 せいぜい板の表面にラス網張って、はやりの珪藻土や漆喰仕上げ。 中は断熱材と板や金網の、みせかけの土壁。 泥屋の仕事もほとんどないらしく、アルバイトに出てる毎日だと嘆いておられた。 アルバイトに出てるから、早めに言っておかないと、壁土を持ってきてもらえない。 今使っている機械がもし壊れたら、修理してまでは続けれない、と言っておられた。 土を持ってきて、帰る背中が小さく見えた。 時代の流れとはいえ、なんかさみしいなあ。 2トントラック2杯分、今日塗り終えた。 それだけの土で、やっと内側が全面と外側が3分の1ほど終わったかな。 あとは片側がある程度乾くまで、反対側は塗れない。 今日から厳寒の予報。 もし雪が降って氷点下になるほどなら、せっかく塗った土壁が割れてしまう。 家の外一面をシートで覆って、 家の中で、夜通し一日中練炭コンロを焚く。 夜中、懐中電灯を持って見回りに行く。 薄明かりの中で、中から家を見渡しながら、 形になってきた大きな積み木を眺め入る。 |