半農半菓
時間どろぼう(5)  〜利子が生み出す世界の歴史〜
2009年1月12日
さて、村では100万円の利子分だけは経済成長しなければならなくなったわけですが、
経済を成長させるには生産を増やし消費を増やせばいいだけです。
人を増やすか、
土地を増やすか、
資源を増やすか。
けれど現実には、人も土地も資源も有限。
やがて行き詰ります。
行き詰らないためには、他の村から取ってくるしかありません。

で、歴史を振り返ればどうだったかというと、
昔、ある村々が、遠い海の向こうの村から鎖につないで、奴隷という名の人たちを増やしました。
ある村々は、遠くの村々を奪い、植民地という名の土地を増やしました。
ある村々は、ほかの村の木々を切りつくしました。
今の僕らの意識からすれば、なぜそんなことをしたんだろうと思いますが、
当時の村々からすれば、強制される経済成長の中で、
必然的に起こったことだったのかもしれません。

でも人々の意識が高まるにつれ、
そんな行為は非難をあびるようになって、無くなったかのように見えますが、
実は、今は貿易という名に姿を変えて、
安い労働力と安い資源が村に集まるようになってるんじゃないかな。

しかしそれも、
この星という限られた枠の中では、
人も土地も資源も行き詰まりつつあるわけです。

昔、先進国という名の村々が経済成長をどんどん続けました。
そしていつしか、経済成長すれば、誰もが豊かになれると信じる人がほとんどになってしまったわけですが。
経済というのは、ゼロサムです。
誰かが100万円儲けたら、誰かが100万円払っています。
先進国の経済成長の裏で、後進国と呼ばれる村々の累積債務は、どんどん膨らんでいきました。
面白いことに、先進国の経済成長と後進国の累積債務は、みごとに合わせ鏡になっています。
そして、もう借金地獄で首が回らない村が出てきたあたりから、
世界の経済成長が鈍化します。
日本という村では、バブルが崩壊し、成長は頭打ち。
そして他の村から利子分100万円持ってこれなくなってきた日本は、
「国債」という名で、未来から借金を始めたわけです。
それから今も増え続ける膨大な借金に、また複利で利子がつき、・・・。
消費者金融顔負けの借金地獄。
ここから抜け出すには、
デフォルト、つまり自己破産宣告するか、
お金の価値を切り下げるか、
戦争始めて、うやむやにするか。
いずれにしても、遅かれ早かれ、今の紙幣は紙くずになるでしょう。

自分の生活基盤を現行のお金に依存する度合いが強いほど、
このシステムが強制する大きな流れの中で、翻弄される度合いが強いといえるのかもしれません。

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