半農半菓
なにかが動き始めてる
2011年3月10日
友人から回ってきた辻井さんの心。
とっても共感と感動を覚えたので、ここに転載します。
いろいろな立場の人々。
それぞれの思い。
それらがぶつかる最先端の上関、田浦。

でも今、少しずつ何かが動き始めているのかもしれません。


(一昨日、辻井さんの文章読んで、この人に会いたいなあと思ってたら、昨夜我が家であったてんつくマンとのトーク会で訊ねてきた方に名刺をもらって、びっくり!
辻井さん本人でした。
すっげーシンクロニシティー!)

以下、転載です。


辻井です。

以下は僕の考えです。流れを壊しそうで、ずっと怖くて言えなかったけれ

ど、思いきって伝えてみます。

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「いつか、全員で作業を止めて、お願いしに行きましょう。そのタイミン

グが来るまでは、お互いに苦しいでしょうが、頑張りましょう」

初日から無表情だった中国電力の人が、僕の目を見て頷き、小さなガッツ

ポーズをしてくれた。

やっぱりここは希望の光だ。

敵も味方もなく、本当に必要な人たちがここに集って来ている。

今まで無かった「真に平和的な新しい変化」が近づいて来てる。

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「こんな仕事よくできるね。」作業員の人が僕たち反対派の誰かに責めら

れている。

僕なら、知らない人に責められて、病気の家族を捨てて仕事を辞めること

ができるだろうか?

「〜さん、上に話をしてきてください。どうしてできないの?」現場監督

さんが名指しで僕たちの誰かに問いかけられている。

自分が監督なら、どうせ無駄に終わるだろう話を、わざわざ上役に持って

行くだろうか?

そして、もし、自分が山口県知事や、中国電力の社長だったら、計画ス

トップの「ボタン」を本当に躊躇なく押すことができるだろうか?

押したらどうなるだろう?

きっと30年無駄に続いた時間の責任を問われるだろう。発注や契約

も30年分も進んでいる。その責任を問う流れは、自分だけでなく、

きっと他の誰かにも飛び火するだろう。

もし自分なら本当にその「ボタン」を簡単に押せるだろうか?

たとえ、どんなに権力があっても、きっと、その「ボタン」は誰か1

人の手には余ってしまう。原発建設というシステムは、誰かが動かしてい

るのではなく、長い間、自動的に動き続けてしまっているのだ。

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「もし、本当に何かが変わるとしたら、その時、いったいどんなことが起

こるんだろう??」

田ノ浦にいながら、僕はずっとそれを考えていた。

中国電力の人、警備員の人、作業員の人、推進派の人、マスコミの人、警

察の人、海上保安庁の人、祝島の人、僕たち…

田ノ浦には様々な立場のたくさんの人達がいる。

立場が違っても、毎日、顔を見合わせていると、だんだん仲良くなってく

る。

本当に変えたいのなら、ここにいる全員で止めなくては止まらないのでは

ないだろうか?

今すぐに誰か一人が手をあげても、きっと潰されてしまう。

でも、もし、ここにいる人たち全てが同時に手をあげたら?

「みんなで手を止めて、みんなで考えてみよう」と、全員で一緒に、柵の

向こうにいる人達にお願いに行ってみたら?

そうしたら、そのひと達も一緒になって山口県や中国電力の本社にお願い

に行ってくれるのではないだろうか?

そして、もし、そこまで辿り着ければ、今度は別の何かが自動的に動き始

めるのではないだろうか??

きっと、その火は全国の他の場所にも飛び火するだろう。何かすごいこと

が起きるかもしれない。

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「誰か1人に責任を負わせるのではなく、みんなで同時に手をあげ

る」

もし本当に何かが動き出すとしたら、僕には、その形以外、思いつかな

かった。

どうしても原発を作りたい人など、きっと、ほとんどいない。

県知事や中国電力の社長さん1人に責任を負わせるのではなく、

「誰の手にも余るボタン」を、みんなで押してみるのだ。

そして、それはもう少し先のタイミングだろうと思う。今はまだ、誰かが

手をあげても、その一人が潰されてそれで終わってしまう。今はまだ時が

満ちてはいない。

立場に関係無く田ノ浦にいる人たち全員の心がきっと少しずつ動いてい

る。「立ち止まってみよう」とみんなで言えるようになる日がきっと来

る。

それまでは、理由も分からず進めなくてはいけない作業、それを必死に止

める僕たち、という不毛な行為の繰り返しに耐えながら、少しずつ小さな

勇気を拡げていくのだ。

1年先か、2年先。みんなの心が少しずつ動いて行って、同じ思いを

みんなが抱えはじめたとき、あるタイミングで、みんなが同時に手を止め

て立ち上がる。

そういうイメージを、こころにずっと描いている。

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「いつか、全員で作業を止めて、お願いしに行きましょう。そのタイミン

グが来るまでは、お互いに苦しいでしょうが、頑張りましょう」

柵の向こうに立っていた中国電力の人へ、返事はしなくて良いから、と、

話しかけてみた。

返事をしてはいけないといわれているであろう、初日から無表情だったそ

の人は、僕の目を見て、頷いて、小さなガッツポーズをしてくれた。みん

な一人の人間なのだ。

作業している人達も心の中では抵抗してくれている。

きっと、何かが少しずつ動いている。

小さな勇気が満ちていって、大きな勇気に変わるタイミングがきっと来

る。

やっぱりここは希望の光だ。

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辻井岳士

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