半農半菓
てんぷら油の可能性
2006年4月7日
てんぷら油耕運機
てんぷら油耕運機
てんぷらをした後の真っ茶色な廃食油、どうしてますか。
実はその油を少し精製すれば、ディーゼルエンジンの燃料として使えるということはまだあまり知られていません。
このような植物油などから作る燃料をバイオディーゼル燃料(BDF)といいます。
ディーゼルっていうと、真っ黒い煙をはく環境破壊の代名詞ってイメージ、持ってませんか。
私もそうでした。
しかしこのBDFを使うと、その排ガス中の黒煙が軽油よりずっと少なく、燃料として安全性が高いなどなど、なんとも魅力的。
そもそも今から108年前、ルドルフ・ディーゼル氏は新しく開発したエンジンをピーナツ油で動かしました。
ディーゼル氏は、大資本と大がかりな装置が必要でそのくせ燃費の悪い蒸気エンジンが企業家に独占されている状態を懸念し、小農民や職人たちが地元で生産できる原料から地域で製造できる燃料を使って無駄なく出力する機関としてディーゼルエンジンを開発したそうです。
近年ヨーロッパの環境先進国では、ディーゼル車が見直され始めています。
もともとガソリン車と比べて、経済性も耐久性もいい。
それに加えて、欠点だった排ガスの問題が、BDFを使えば大きく改善されるからです。
まちのガソリンスタンドでは、BDF入りの燃料が売られています。
日本でも広島県大朝町では、田んぼで菜種をつくり、絞り、取れた油でてんぷらをして、その廃食油からつくるBDFで走る町営バスが町を周っています。
そしてBDFで動くトラクターが田んぼを耕し、また菜種をつくる。
とてもおもしろい循環です。
ディーゼルを見直した私、さっそく今年、古いディーゼル耕耘機を手に入れ、大朝町から取り寄せたBDFで動かしてみました。
動くじゃないですか!!
(ちなみに、耕運機や発電機を動かす程度なら、ペットボトルを使って、自分でシャカシャカ理科の実験程度の要領でBDFをつくることもできます。)
あたりに立ち込めるてんぷらのいいにおい。
排ガスを吸っても、軽油のような不快感はありません。
料理してるような気分です。
何十年か前のさび付いた耕運機でしたが、今年新しく手に入れた3反の田んぼを、あっという間に耕してくれました。

今まで石油エネルギーで動く機械は、持続可能な社会モデルには適さないとの考えから、なるべく機械を使わないですむやり方を念頭に、自然農での米つくりをしてきました。
が、今回BDFのことを知って、廃食油で動かすのなら、それはアリかなとラインを引きなおした私。
自然農での米つくりは、家族の米を作るやり方としては、とてもシンプルでだれでもできるやり方。そしてこのやり方を知っていれば、何もなくても米を作れるという安心感があります。
けれど皆が半農の暮らしになればいいですが、そうでなければ、誰かが他人の分も米つくりを担うことになります。
自然農のような手作業では、家族ぶんプラスαが楽しんでできる限界。
一反以上は、おそらくほとんどの人にとって、苦痛に代わるでしょう。
今回BDFのことを知って、僕の持続可能な米つくりのモデルは3本柱になりました。
一つはもちろん、自然農。
そしてもう一つは、BDFで機械を動かしての米つくり。
今年、見事にたわわな穂を実らせました。
そして最後の一つは究極、福岡正信翁のやってたような不耕起直播。
これまでもいろいろ試験をしてきましたが、来年本格的に始動です。

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