地球子舎(てらこや)
ハッピーカヤックねこツアー
2019年8月23日
今日のコースを話し合う
今日のコースを話し合う
佐合島を出発
佐合島を出発
長島へ
長島へ
すてきな無人の浜辺
すてきな無人の浜辺
タコとったどー!!
タコとったどー!!
今年も夏のキャンプの季節がやってきた。
今年はあまりキャンプしたことないメンバーが小さい子に増えてることから、
低中学年は、設備の整った馬島キャンプ場で、スタンダードなキャンプ。
高学年はちょっとバイアスかけたくて、カヤックで無人島に渡ってのサバイバルキャンプと、二手に分かれてのキャンプとなった。
とはいえ、ここんとこの2泊3日キャンプは、去年の佐合島サバイバルキャンプも、秋の九重連山登山キャンプも、悪天候に見舞われて、子どもたちの中にも大変だった記憶の方が濃い。
だからか、事前の話し合いの段階で、
「1泊2日でいい」
「サバイバルじゃなくていい」
「私たちも馬島がいい」
とかなりの後ろ向き。
だけど話し合ってるうちに、牛島には猫がいると聞いて、女子たちの顔があがり始めた。
じゃあ、目的地を牛島(の猫)に、そしてコンディションがよければ、その先の無人島「尾島」にとなり。
名前に「サバイバル」ってつくから、みんなしんどいイメージしか浮かばないなら、「ハッピー」ってつけよう、頭に!
というわけで、今回のキャンプの名前は「ハッピーカヤックねこツアー」!
これで全員の同意を得て、いざ当日を待つ。

引率してくれるのは、特別講師 原康司。
カヤックのツアーガイド、冒険家でもあり、先日台湾から与那国まで3万年前の航海を再現する国のプロジェクトにリーダーとして参加し、みごと成功させたこれ以上ないガイドだ。

だけど、当日になってみれば、2日めから天気が崩れて南の風が強くなりそうで、
初日牛島に渡れても、2日目、3日目、みんなの漕力では帰ってこれない可能性大。
やむなく、目的地を牛島から上関の長島に変更。
風裏で、満潮時でもテント設営できて、無人の、つまりカヤックでしか上陸できない浜を探そうとなった。
それぞれのカヤックに自分の荷物のほかに水やテントなどの共同の荷物も分散して乗せていくパッキングという作業が終わったら、いよいよ出発。
平生の佐賀を出発して、佐合島を経由。
大型船航路を緊張しながら横切ったりしながら、当初の目的地尾島の半分の5キロ漕いだところで、長島の先っぽのほどよい浜に。

まずはテント建てて、食糧調達に。
あとは、泳ごう!遊ぼう!
僕が30センチ弱の鯛釣って、康司さんが大型のカサゴやハゲを突いて、サザエを数個ゲット。
極めつけは、唯一4年生での参加のTが大きなタコを突いてきた。
初めてのタコ、得意満面のT。
絞めて、塩もみして、ゆがいて、切ってをすべて自分でこなしたあたりはさすが。
夕飯はボウズだったとき用に女子がつくったカレーと、サザエのつぼやき、タイ、カサゴ、ハゲ、タコと高級魚ばかりの刺身三昧。
刺身は食べきれないほどの豪華な夕食となった。

夜はたき火を囲んで、星を見ながら、定番の素敵な浜辺の夜。
ここまでだったら、子どもたち素敵なキャンプの思い出になったろう。
けれど夜寝るころから少しずつ試練がやってくる。
まず、ひとつだけメッシュのなかったテントに蚊の大群が襲来。
狭いテントのなかを無数の蚊が飛び交う事態に、KとTが2時間格闘の末、別のテントに避難。
他の女子テントでは、わずかな隙間から浜ダンゴ虫やフナ虫が入り込み、虫と格闘。
僕のテントにはわずかしか入ってきてはなかったが、テントの薄いシートとその下の砂利の間を、無数のフナ虫やダンゴ虫が動き回り、マットを持って行ってなかったぼくの背中を夜通し、モゾモゾと。
一日めの試練の夜、なんだかんだありつつも夜明けを迎え、
早起き女子たちは岩場探検に。
昨夜の高級魚たちのあらで出汁をとった超美味のあら汁で朝ごはん。
はやめに撤収して、風が強くならないうちに、帰れるところまで帰ろうと、佐合島に戻ることになった。
やはり、風裏の浜で満潮でもテント建てれるところを探し、唯一可能な浜に上陸。
みんなが楽しみにしていた棒ラーメンとカレーの残りで昼ごはん。
男子は捨てられたタコツボを発見して、タコ漁に盛り上がってる頃、
康司さんが中型のイシダイとチヌを突いてきた。
その夜も、女子のつくったハヤシライスと刺身で豪華な夕食。
イシダイの刺身、超美味!
雨も降ってきて早めの就寝となったのだが・・・。

雨で風のとおらないギュウギュウのテントが暑すぎて寝れず、あるいはやはり虫で寝れない子達がタープ下に逃げ出してきた。
いろんな話をしながら少しの間いい時間だったんだけど、雨風が強くなり、タープ下も降りこんできて、たまらずそれぞれのテントにもどったけれど、最後の着替えもびしょびしょ、テントの中もびしょびしょで、心の折れそうな子が何人も。
それでも前日の睡眠不足でなんとか寝たんだろうけど、一人寝れないMが真夜中、「あっつん、びしょびしょすぎて私だけ寝れん、さみしい・・・」と泣きそうな声で起こしにきた。
二人で真夜中の浜辺で語りながら、そして風がやむと同時に現れてくる蚊たちと格闘しながら、夜明けを待つ。
夜明け前、Oも起きてきたので、「俺は寝るわ」と僕はテントへ戻って、びしょびしょのまま深い眠りに。
と思いきや、「あっつん、あっつん、たいへん!!!」と起こされる。
でてみれば、凄まじい強風と雨の中、タープが飛びそうになるのを、女子たちが必死で押さえてる。
何度かペグを打ち直し、もっと大きな石で押さえたりしたけど、もっと強い風が吹いて、やっぱり飛ばされたりで、
「こりゃ危ないわ、タープ崩そう」とテントに再度避難。
僕もびしょびしょのまま、やっと深いところに入ったかと思った頃、再び、
「あっつん、あっつん、テントが・・・・!!」
でてみると、GとAのテントが飛んで行きそうなのを、二人が必死につかんでる。
「とにかく中に入って重しになれ」と二人を中に入れ、必死でペグ打ち。
その後、凄まじい雨風の中、全員ただただテントで耐えしのぐ数時間。
ずぶ濡れの服とテント、虫で横にもなれず、女子たちは体育座りをしたまま、寝てたとか。
そんな女子の喧騒も他人事のように、男子たちは爆睡だったけどね。
8時過ぎ、雨風も収まり、速攻で撤収して、波の少ない内に、出航した佐賀の港に無事帰還。
なんとも波乱万丈、心に残るカヤックキャンプとなった次第。

てらこやに着いてすぐ、Hの口から
「てらこやが超快適な家に感じる」と心の底からの声。
水があること。
雨風をしのぐ家があること。
日ごろ当たり前すぎて忘れてしまっている、
当たり前のありがたさを皆が心の底から感じれたようだ。
土砂降りの九重キャンプ、雨漏りとテントの下がウォーターベッドみたいになって大変だったけど、車に避難することができた。
去年の佐合島サバイバルキャンプ、すさまじい風で浜にテントが建てれなかったけど、康司さんの冒険学校の敷地に避難することができた。
今回はどこにも逃げ場がなかったからこそ、
ただ自然と対峙するほかなかった。
泣こうが、喚こうが、状況を受け入れて、対処するしかできない。
この先少々のことに出会っても、あれに比べれば、なんてことないときっと思える。
とっても大変だったろうけど、得たものはかなり大きい。
心にきっと残る2泊3日のキャンプでした。

来年こそは「ハッピーカヤックねこツアー」を味わえますように(^^)

by あつお

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