地球子舎(てらこや)
干潟観察会
2017年10月1日
「カブトガニの卵は水に入れるとすぐに孵化して小さな団扇みたいなのがふわふわ泳ぎ始めるんですよ」
「えーっ、見たい!!!」
その人、奥田先生が目を輝かせてカブトガニのこと話してくれたら、もう見に行きたくてたまらなくなった。
子どもたちと行きたいとプランを組んだが、台風で流れ、孵化の時期を逸して悔しい思いをしたのが、昨年9月のこと。
そして今年9月下旬の大潮の日。
念願の「カブトガニの生まれる瞬間を見に行こう」計画が実現した。

干潟といえば、ムツゴロウの有明が有名だけど、
瀬戸内にも大きな干潟がいくつもある。
そのうちの一つ阿知須の干潟。
大潮の日、そこには広大な見渡す限りの干潟が広がる。
おうちえんとてらこや、スタッフ入れて総勢40名での干潟観察会となった。


弁当を食べて、潮が引く時間を待つ間、そばの川で網をがしゃがしゃやれば、ウナギがとれたり、いろんな魚がとれたりで、男子どもはいきなりテンションマックス。

潮が引いてきたので、河口を下る。
潮が引いたと言っても河口なんで川を渡ればそれなりに水深はあるし、
基本干潟に続く河口なんで、足がはまって動けなくなる子も続出。
長靴ほぼ意味なし(^^;)
でも一度濡れて、どろどろになれば、もうあきらめついて、
じゃぶじゃぶ歩く歩く。
ばしゃばしゃ走る走る。
ずぼずぼはまるのを楽しんで、
とびっきりの笑顔!


奥田先生にカニの巣穴の掘方を教えてもらいながら、ハクセンシオマネキやいろんなカニをゲットしながら進んでいくと、大きな干潟に出てきた。

カブトガニが産卵してるポイントを教えてもらって、砂を掘ると、
いたいた、カブトガニの卵。


5ミリくらいの白い卵をバケツの水に入れてじっと見ていると、
卵の中で何かがクルクル動き出した。
ちょっと待ってると何かがふわふわっと浮かび上がってきた。
うちわみたいなちいさな白いカブトガニの赤ちゃんが、お腹を上にして水面をふわふわ泳ぎ出したのだ。
そのうち、いくつもいくつも、クルクル、フワッ。
じーーっと見つめる子どもたち。
「生まれた、生まれた!!」
「また生まれた!!!」
しばし、興奮のひととき。

そのあと、カブトガニの子ども(2歳、3歳の5〜10センチくらいの)を探しに有志で広大な干潟に。
膝まで埋まりながら、干潟を歩き回って、
小さなカブトガニを何十匹も捕まえていました。


先頭は、いつも奥田先生。
いつのまにか子どもたちが後ろについていってる。
(まあ、いちばんキャアキャア後ろをついていってたのはよっこだったけど)
どろどろになりながら、生き物を探す先生は70代後半のおじいちゃん。
本業は画家で絵を教えてるんだけど、一年の3分の2は山に入ったり川にじゃぶじゃぶ腰までつかりながら生き物の調査や保護をしてるらしい。
小さい時から生き物が好きで好きで、高齢の今も好きを通り越して愛してるのが伝わってくる。
諫早のギロチンが降りるときは、干潟が死んでしまうとカブトガニを救出しに駆けつけて毎日毎日何百匹も堰の外に逃がしたそうだ。
70歳を過ぎてるとは思えないくらい、いつも目を輝かせて話をしてくれる。
こんなキラキラした大人にたくさん会わせてあげたいな。
こんな大人とたくさん出会ってってほしい。

広大な見渡す限りの干潟の中に、帰る時間も忘れて生き物を探してる奥田先生と何人かの子どもの姿が豆粒のように輝いてました。

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