地球子舎(てらこや)
『もやもやを出す』
2018年8月10日
こわいけど,出す。
不安いっぱいだけど,出す。
みんなを信頼して,出す。
自分の気持ちを伝えてみる。

7月12日,
朝のミーティング。
きのうの放課後からずっとなにかがひっかかっている女の子。
がんばって手を挙げてみたけれど
「やっぱりいい・・・」と口を閉じる。
「話してみたら?大丈夫!」背中を押す。
思いつめたようにぽつり,ぽつり、泣きながら話し始める。
「キャンプのチーム,このままの4人がいい。入れたくない。」
ミーティングの雰囲気が変わる。みんなの心にスイッチが入る。

前日の放課後,3日間体験入学した女の子が,
正式にてらこやの新しいメンバーに加わることが決まった。
残って遊んでいる子たちにも報告。みんな大喜び!夏休みのキャンプにも参加できる。
「じゃあ,キャンプは4人のチームに入ってもらったら,全部5人ずつになるね。」
「ちょうどいい!」「いいね,いいね!」
そんな流れになった。
けどそれからあの子の様子がおかしくなった。

ミーティング,静寂が続く。
どうしてそう思ったか,みんなが聞いてみても,
あの子はうまく自分の気持ちを言葉で説明できない。
「なんかわからないの。けど,このままがいいの・・・。」
沈黙の後で,高学年の子たちが手を挙げる。
「全部5人ずつになるのがいやなの?」
「入る子が違う子だったらどう?」
「他のチームに入れてもらえるんだったら、それはどう?」
彼女が彼女のこころにたどりつくための質問を投げかける。

新しいメンバーになった子もミーティングには参加しているから,
スタッフとしては,ちょっとどきどきする。

でも,そういった質問を受けて
彼女はもやもやしたものの奥にある,
わからなかった自分の気持ちに気が付いていった。
時間をかけて、メニューや持ち物など、いろんなことをグループで話し合って決めてきた。そこに突然新しいメンバーが入ってくる。そのことへのとまどい・・・
勝手に決められてしまった悲しさ・・・
今まで14人で築きあげたものが,
ちがうものになってしまうような不安,淋しさ・・・

スタッフは反省・・。
今回のキャンプはこどもたち中心でかなり話が進んでいた。
”できるだけ自分ごとに,自分たちのキャンプに”とこども主体にしてたのに,
こどもたちに報告や確認も取らずに,わたしが新しいメンバーのキャンプ参加を決定して
話を進めてしまった。あの子のもやもやから,それに気が付けた。

うれしかったことは,あの子がチームてらこやに深い絆を感じているのがわかったこと。

彼女の気持ちを受け止めて,みんなで考えた結果,
最後は4人,5人,6人の3チームができた。
みんなでみんなの気持ちを確認し合う。

最後に彼女が言った。
「わたしのわがままで、みんなの時間を使って、迷惑かけてごめんなさい……」

一瞬の静寂。
ちょっと待った!
ここからはスタッフにも言わせて。

「いや、それはちがうと思う。」
「ごめんなさいではなく、ありがとうかな。それにね、迷惑ではないよ。もやもやした気持ちを隠して無理に5人チームになり、キャンプの準備もキャンプの日も暗い顔して……そのほうがよっぽどみんなの迷惑になるんだよ。」
「勇気を出して言ってくれてありがとうね。」

その日の夕方,あの子がポツリ。
「言ってよかった。みんな話を聞いてくれた。言ってみてよかった・・・・。」

次の日,
あの子がどきどきしながら話しかけていた。
「ごめんね。てらこやに入ってくれてうれしいんだよ。
 でもきのうのミーティングで,いやな思いさせてしまってたら、ごめんね。」
「え!?そんなのなんとも思ってないよ。ぜ〜んぜん気にしてないよ!」
 新しく入った子は満面の笑顔で答える。
「ああ,よかった・・・・」
 ふたりが照れ笑いしながらきゃっきゃと遊ぶ。
 心の距離がちょっと縮まって,どんどん仲間になっていく。

 こわいけど,出す。
 不安いっぱいだけど,出す。
 みんなを信頼して,出す。
 自分の気持ちを伝えてみる。

 まあみん 
 

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