半農半菓
ケーキの値段
2003年11月18日
ケーキって贅沢品、ですよね。
ケーキの値段ってどうやって決まってるんでしょう?
うちのケーキの値段をちょっと分解してみたいと思います。

うちのケーキの値段は250円前後。
東京とかから帰ってきた人たちには、「うわー、安い」と言われます。
近所のおばあちゃんには、「高いねえ」と言われますが・・・。
(スーパーにおいてあるヤマザキのケーキと比べるなっちゅーの)

ちなみにうちのケーキに使っている卵は1個40円。
牛乳1本330円。
バナナは1本100円くらい。
有機栽培されたもの、自然に育てたものなど、僕の基準で安全と思えるものしか使用してないので、材料の値段がふつうのケーキ屋の使っているもの倍以上かかるものがたくさんあります。

そんな高い材料ばかりを使って、なんでケーキがそんなに安いのかって?
実はこんないい材料ばかり使っても、全体に占める材料費の割合は3割強なんです。
ほかのケーキ屋さんの材料費って何割なんでしょうねえ???
2割台、すごいところは1割台じゃないのかなあ。
それでも街のケーキ屋さんはつぶれる店がよくあります。
けっきょく人件費や場所代、設備代が高いんでしょうね。
たぶん他の店が同じ材料でつくったら、350円くらいにしてやっとトントンだと思います。

うちは店は持ち家(テナント料0)、家族経営(人件費が安い)、設備に金をかけないから、250円も可能なんです。
親父なんか社長なのに月数回のゴルフ代だけで、かなり手伝わされてますから。
ちなみに僕も妻も月8万円。

うちの経費の内訳は材料費3割、包装材などの付属品1割、人件費4割、光熱費通信費その他1〜2割というところでしょうか。
店としての利益はほとんど出ないように設定してあります。
普通のとこだったら、これに場所代1割、機械設備費1割がこれに加わるでしょう。
それに人件費、職人ひとり30万〜40万でしょ。
そりゃ、ケーキの値段って高くなるわけですよね。
字で書いちゃうとわかりにくいかもしれませんが。

さて、先月の続き、時間泥棒の話でしたよね。
ケーキの値段の中身は、材料費、消耗品、光熱費、人件費、家賃、設備費・・・・。
この中には利子というものがたくさん含まれていること、ご存知ですか?
家のローン、設備代のリース料、借金をして何年何十年というローンを返済していく。
これはわかりやすいですね。
でもうちは借金ないし・・・という方もいるでしょう。
でもよく観察してみると、一見、利子とは関係ないような材料費、光熱費、人件費。

材料費の中には、中間業者の人件費、設備費、光熱費、家賃・・・。
材料をつくるメーカーの人件費、設備費、光熱費、家賃・・・。
光熱費の中にも、電力やガス会社の人件費、設備費・・・・。
そのまた人件費の中も、社員の給料の使い道を考えてみると、家や車のローンに、保険に光熱費・・・・。
きりがないから、やめましょう。

ケーキの値段といっても、その多くの部分が利子だということです。
(帯グラフにしたらわかりやすいのかな)
ケーキの実体は、材料代と手間賃くらいのもの。
そして、ケーキのみのことにあらず、お米、食べ物、家・・・・。
世の中の大部分に、実体以上のたくさんの利子が上乗せされています。

世の中の人が家をもっと安くつくり、利子というものが存在しなかったら、ケーキの値段っていったいいくらでできるのでしょう。
だれか頭のいい人、計算してくれないかなあ。
みんな今の収入の半分でもゆとりのある生活を送れそうじゃありませんか。

そもそも、利子って、何なんでしょう。
お金って何なんでしょう。
僕は、けっしてお金を否定してるわけでもなければ、嫌いなわけでもありません。
お金・・・・、大好きです。
でも、現在のお金が持っている機能には大いに疑問があります。
お金って本来、物々交換を媒介する便利なツールだったはず。
でもそこに利子がつき、投機の対象になってから、おかしなことになっちゃったみたいですね、どうも。

人々の生活の中に入り込んでいる膨大な利子のシステム。
その巨額の金はいったいどこへいってるんでしょう。
お金とは、プラスマイナスゼロのはず。
だれかがたっぷり儲けてるんでしょうね、きっと。
それを多くの人たちは利子という見えない糸で、汗水たらして支えている、そんな構図が浮かび上がります。
一部の層の人たちのより贅沢な生活を支えるために、みんな余分に働いてるんです。

時間泥棒の正体、見えてきました?

社会が悪い、国が悪い、○×○×・・・といってても、なにも変わりませんし、だれが悪いというわけでもありません。
でもあほらしいので、そういうレールからはなるべく外れたいと思っています。
レールから外れた生き方を求めてみると、それが自分の家を自分でつくることだったり、自分たちの食べ物を自分たちでつくることだったりするわけです。
そんなことができる形に、仕事のあり方も、生活のあり方も、根本的に見直していくのです。

お金に振り回され、お金に支配されたライフスタイルから、自由になる。
不思議なことに、どんどん時間が戻ってきました。
時の流れがゆるやかになっていくのです。
それは、アフリカで感じていた時の流れと同じです。
とっても心地いい流れです。

もしもあなたが、なにかに忙しいと感じるとしたら、ぜひ一度見直してみてください。
時間泥棒に入られていないかどうか。

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