Sの挑戦
2019年7月31日
新学期初日、6年生になるSが、家で勉強すると宣言した。
突然の宣言にスタッフもびっくり。 てらこやでは友達と遊ぶと決めて、勉強はしてこなかったS。 中学生まであと1年。 急に勉強が不安になった。 そしていつも放課後や土日に一緒に野球をやってる公立小の仲のいい友人たちと一緒に、公立の小学校に行きたいって気持ちが急にわいてきた。 でも、勉強してこなかった自分は、今すぐ公立に行っても、授業についていけない。 だから勉強を追いつく。 てらこやでは、自分はみんなを気にして集中できないから、家で勉強する! それが、Sが選んだ今自分がしたいこと。 やさしく、思いやりに満ちてるがゆえに、どちらかといえば、いつも自分よりみんなを優先してきたS。 だから、公立の小学校に行ってみたいという自分の気持ちにくっきりと気づいた今も、てらこやのみんなを裏切るようで、申し訳なくて、みんなの気持ちを考えて、自分の気持ちとの狭間で、何日も泣きとおした。 でも、そんなSが今くっきりと決めた。 「てらこやで僕は十分遊びきった。やりたいことを存分やった」 「だから次に行きたい」と。 心から応援したいと思う。 おうちえんのときからずっと見てきたSの成長に、涙が出そうになる。 「どうせだったら、あと一年てらこやを全うして、送り出したかった」 そんな僕やスタッフ、親たちの思いも正直ある。 だけど、そんな大人の思いとは別に、彼の思いは彼のもの。 飛びたいっていう内から湧き上がる衝動に突き動かされて、雛が巣立つように。 今、Sは巣立ちのときなんだな。 「勉強する」と、3年生の教科書から始めたS。 毎日家で、自分で決めて、算数と漢字をやり始めた。 公立に通っていた2年生のころ、あれだけ宿題をするのもさせるのも苦痛だったのに、と母のIちゃん。 今は、知ること、わかることがうれしくて、覚えるのが楽しくて、だそう。 しょうがなく、いやいややる勉強じゃなく、これがほんとの学びなんだなって。 だからどんどん進んで、7月の今、5年生まで追いついたらしい。 〜「やりたい」と思う気持ちと行動が一致したとき、人は一番成長する〜 カール・ロジャースの言葉を、今あらためて思う。 |