時間薬
2018年7月2日
積み重ねた時間が少しずつ変化をもたらす。
葉が落ちて,落ち葉がたい肥になるように, 少しずつ土ができてくる。 6月のミーティング。ヨットで姫島までの1泊2日の航海。定員は5名,全員は乗れない。1年生から6年生まで9名の子が希望する。9名か,さあ,どうしよう。 「波があったら,低学年はあぶないかも。それに力がないからヨットの操作は難しいんじゃないかなあ。」一人の子が発言する。「そうだ,そうだな。」とうなづく子,「うーん。」と考えている子。当の低学年の子は淋しそうに困り顔。沈黙が続く。 小さく手が挙がる。 「あのさ,できる人が船の中でごはんを作ってくれれば,いいんじゃない。その間,力のある人がヨットを操作して。そしたらさ,みんなでいけるんじゃない?」 普段はあまり積極的に発言しない子が,考えて出した意見。参加したい低学年の子たちはみんな料理が得意だったから。 チームてらこや,育ってきているなあ。 心がほかほか,うれしさでいっぱいになる。 以前なら頭ごなしにこれはこうだからと決めつけて,「我慢しろよ。」で終わっていた。 AかBかだけではなく,みんなしあわせになるC案,第3の道を探すようになっている。 もうひとつ,忘れられないエピソード。 4月のミーティング。キッチンスタッフがてらこやに入ってくれたことで,みんなで分けて担っていた仕事がほぼなくなった。残った仕事は3つ。 「さあ,係を3つ作るか?それとも日直の仕事にするか?」 すっと手が挙がる。 「その仕事,おれがやってもいいよ。」 「え?毎日だよ。ずっとだよ。いいの?」生ごみ捨ては大変だから,みんなが聞く。 「いいよ。」 「そっかあ。ありがとう。じゃあ,やめたくなったらまたいつでも相談してね。」 他の2つも同じようにやりたい人がいて,あっという間に担当が決まった。 『ずるい』 てらこやをはじめたばかりの頃,こんな言葉がよくとびかっていた。 自分ばかり,大変なことはやりたくない。人のために動くというよりは「〜すべきだから」「やらなくてはいけないから」「損か?得か?」 この殺伐とした雰囲気をどうしていったらいいのか,何度もスタッフ間でも問うた。 だから,よろこびでうまくまわる,心地よい助け合いが広がっていくそんな未来がやってくるなんて!! まだまだだけど,確実に変化している。 ともすると目の前の事象に振り回され,早く結果を出したくて,スタッフである自分自身があせって軸を見失いがちになる。そんなときは,今ここで14人といっしょにいること,右往左往しながらもともに課題を乗り越えていること,そんなかけがえのないすべてに感謝して。 時間薬。 時間よ,ありがとう。時間が助けてくれているね。 これからもじっくりと土をつくっていこう,あせらず少しずつ少しずつ・・・・・・。 by まあみん |