半農半菓
意識的に生きる(9)   〜時間の幻想〜
2008年2月15日
過去、現在、未来、・・・。
時間とはそんな風に一方向に流れていくものだ。
僕らは、無意識にそう信じています。
そして、実際に日々、そう感じています。
けど、ほんとうにそうなのでしょうか。

「イノセンス」という映画、観たことありますか。
押井守という監督のアニメ映画だけど、後に攻殻機動隊というアニメ作品になっていった原作です。
この中で描かれた近未来は、電脳といわれる技術により、人の記憶領域をコンピュータの記憶装置のように扱えるようになり、それがネット化された時代。
そこでは、人の記憶のすり替えや、意識へのハッキングによる犯罪が出現していました。
別の記憶を挿入すると、まったく別の今日が生まれます。
意識に別のプログラムを挿入すると、別の判断、別の行動をとるようになります。
映画の中では、他人の意識領域を操作して犯罪が行われるわけですが、
自分の意識を意識的に変更することは可能なのではないでしょうか。

よく考えてみると、過去も未来も、自分の頭の中にしかないことに気づきます。
言い換えれば、過去も未来も想像の産物なのです。

過去は、自分の記憶の中にあるだけで、今ここにはありません。
未来も、自分の想像の中にあるだけで、今ここにはありません。
実在するのは、今っていう瞬間だけなんだと気づきます。
まばたきをしたほんの一瞬前でさえ、すでに過去で、
目からの信号を僕らの脳が残像として保持してるだけです。
だからいかにも時間が連続してるように錯覚します。
実は、今という瞬間の連続を、僕らは時間と考えているだけで、
実在するのは常に常に、今という一瞬しかありません。

過去の記憶にとらわれて、未来を不安に思って苦しんでいる今の自分がいるだけです。
昨日の失敗したという記憶にとらわれて、失敗を恐れている今の自分がいるだけです。
さっきひどいことを言われた記憶にとらわれて、怒っている今の自分がいるだけです。

僕らは過去の記憶から、
未来を想像し、
今の認識と選択を決定します。
過去否定された記憶から、今も彼は私を否定すると思い、あるいはまたそうなるかもと恐れます。
その今の認識と思い込みが、次の瞬間を創造します。
そしてまた否定されたように感じる出来事を体験する。
過去の記憶から、何かを決め付け、自分や誰かにレッテルを貼り、望まぬ現実を再創造している人のなんと多いことか。

だけど、過去も未来も頭の中にしかないものならば、
自分で変更することも可能なはず。
絶対的なものではないのです。
気持ちのいいものに取り替えましょう。

もし、過去の何かにとらわれている自分を発見したなら、
その出来事に別の光を当ててあげましょう。
コップの水で話したように、見方、受け取り方を変えるのです。
過去の事実を変えることはできませんが、
それによって、自分が感じたこと、考えたことは、自分の記憶の中にあるだけですから、
いくらでも変更することができるのです。

昔カセットテープという代物がありました。
新しい曲を録音しても、前の曲が残ってうっすら聞こえてくることがありました。
長年にわたって刷り込まれた記憶や意識ほど、溝は深いものです。
そこに新しい気持ちのいい曲を刷り込むには、何度も何度も刷り込んでやる必要もあるかもしれません。
だけど、気がつけば、
いつのまにか、気持ちのいい曲ばかりが聞こえ始めてる自分に気がつくこと、保障します(^^)


〜過去も未来も自分の頭の中にだけある〜

ページアップ