生物と無生物のあいだ
2008年3月3日
「生物と無生物のあいだ」という本、ご存じだろうか?
先日、お店に来られたお客さんが、寄贈してくれた。 (意外にいろんな方がブログを読んでくださってることにびっくりする・・・) すごく評判になってた本で、前から気になってて、本屋でパラパラとめくってみたことはあったが、字が小さかったし、難しそうだったので買わなかった本だった。 でも、ちょうど頂いたので先月読んでみたら、これが意外に読みやすく、おもしろかった。 生命ってすげー! とっつきにくい分子生物学の最前線をわかりやすく小説風に仕立ててる。 日々生きている中で、自分の体の中の分子の運動に心を寄せる人は、そうはいまい。 けれどこの本は、生命の神秘を分子という視点から照らし出す。 おかげで、体の中のひとつひとつの細胞や分子の営みが目に浮かぶようになった。 いろんなことに驚いたけど。 一番びっくりしたのは、分子が常に入れ替わってるってこと。 細胞日々、死んで新しい細胞が生まれ、入れ替わってることは知ってたけど、 あれはやわらかい細胞だけのことかと思ってた。 一見固定的にみえる骨とか歯まで、その内部では絶え間なく、分解と合成が繰り返されて原子が入れ替わってるとは・・・。 それと脂肪! 脂肪って、余分なエネルギーが脂肪となって蓄えられてると思ってた。 でもそうではなく、脂肪の中では、驚くような速さで原子の総入れ替わりが起こり、一見ためているように装ってるだけらしい。 著者の福岡さんは、それを波打ち際の砂を使って分かりやすく説明する。 砂浜の形は遠目には固定的に見えるが、 近づいてみると、波に削り取られて、表面の砂は洗い流され、 また次の瞬間、波が新たな砂を運んでくる。 砂は常に入れ替わっている。 だけど、遠目には砂浜は動いてないかに見える。 つまり、今日食べた食事の体内に吸収された分子は、残らず体のどこかと入れ替わる。 いい水を飲めば、残らず体に取り込まれ、入れ替わる。 まがい物の飲み物を飲んでも、残らず体に取り込まれ、入れ替わる。 いい油を使った食べ物を食べても、残らず体に取り込まれ、入れ替わる。 マーガリンのようなプラスチック油を食べても、残らず体に取り込まれ、入れ替わる。 久々に誰かと会えば「お変わりありませんか」とあいさつするが、 実は、お変わりありまくりなのだ。 体も意識も、僕らが何を食べ、何を選択するかで、瞬間瞬間変化しまくってるのである。 だから、何を口にし、何を選択するか、 しっかりと意識的に選びたい。 そして同時に、あまりこだわりすぎずにも生きたい。 次には、また別の選択を選びなおせるのだから。 |