意識的に生きる(5) 〜確信〜
2007年12月1日
「意識が現実を創る」
なかなか最初は、ほんとにそうとは思えない。 当初、僕もそうかもしれないと思いつつ、 ちょこちょこと試したりしていたが、 大半の時間はそんなこと忘れて、無意識に日々を送っていた。 ほんとに大きく確信したのは、リニューアルして一年くらいしてからのこと。 「分水嶺」 http://www.oh-shita.com/slowlife/essei/?n=39 でも書いたように、忙しさから抜け出すため、店を一か月休んだり、 スタッフを増やし、必要以上お菓子が売れすぎないように、 いろんなことを調整していったこともあって、 店は前と違って、少しはお客さんも落ち着いた。 僕は時間に余裕ができる、 はずだった。 超効率段取り男だった僕は、仕込みの段取りは当然だが、それ以外の予定の段取りも結構綿密に立てる性格だった。 ところがどんなに完璧に予定を組んでいても、いつも予定外のことがはいっては、僕は忙しくなる。 段取りが狂っては、ストレスになる。あせる。 毎日毎日、段取りが狂う。 どんなに時間が余るように予定を組んでも、必ずと言っていいほど、その僕の完璧な予定を狂わせる何かが起こる。 システム的に変えれることはすべてやった。 でも、まるで運の悪い男のように、僕の予想を超える何かが起こっては、僕は結局 「時間がない」「忙しい」という状態から抜け出せずにいた。 自分でやれる限りの手は尽くしたが、なにか見えない糸に翻弄されているようで、 いい加減疲れきっていた。 あるとき、ミキサーボールの中で泡だて器を両手で持ち、ぐるぐるかき混ぜていた時のこと。 ふっと、言葉が飛び込んできた。 「そうか、もしかして、忙しい、時間がない、思ったようにいかないってばっかり思ってるから、そうなるようなことが起こってくるのかも。」 事実僕の頭の中は、「忙しい」「時間がない」「思ったようにいかない」という言葉で四六時中満たされていた。 僕は、迷い込んだ洞窟でやっと見つけた光のように、そのひらめきにしがみついた。 時間が足りないという意識が、次の瞬間に、時間が足りない状況を創っていたとしたら、引き寄せていたとしたら・・・。 そして、時間が足りない状況を経験し、僕はさらに、時間がないという認識を強くする。 そしてその認識がさらに次の瞬間も、時間が足りないという状況を、強く引き寄せる。 これをネガティブスパイラルと僕は呼ぶ。 そんな悪循環を自分で生み出している、という現実創造のメカニズムがはっきりと見えた。 そうか、じゃあ、時間が十分ある、完璧にうまくいくっていう状況を生み出すには? 次の瞬間は、今の意識が創るんだから、 今、時間が十分にある、うまくいってるという認識、意識になればいい。 でも、現時点では時間が十分にないと思い込んでるんだから、 そうはいっても、なかなか時間が十分にあるって意識になれるもんじゃない。 そんなとき、便利なツールがある。 ぼくらの中で動いて宇宙に信号を出している「創造のエンジン」が使う3つのツール。 それは、思考と言葉と行動という3つのツール。 時間が十分あるとしたら?と自分に問いかける。 自分は今、どんな思考をし、 どんな言葉を出し、 どういう風に行動するだろう?と。 時間が十分あって、すべて完ぺきにうまくいくとしたら、僕は今、 まったく2時間後の予定など気にせず、焦りもせず、ゆったりと今目の前の生地を泡立てるという作業に集中するだろう。 時間が十分あって、すべて完ぺきにうまくいくとしたら、僕は今、 時間が十分にある、うまくいってるって言うだろう。 時間が十分あって、すべて完ぺきにうまくいくとしたら、僕は今、 あせって泡だて器を回さずに、ゆっくりとしっかりと集中して回すだろう。 僕の意識から未来への不安と恐れが消えて、 過去のうまくいかなかったという記憶から解放されて、 今この瞬間に意識が集中した途端、 僕の心は、急激に落ち着きを取り戻した。 意識が頭の方にいって、浮足立ったような感覚から、 意識がおなかの下の方に降りて行って、足が地についたみたいな感覚。 それは、アフリカで僕のこころの奥底に響いた心地よい感覚だった。 そして意識が今ここに集中した途端、喜びが満ち溢れてきた。 さてそれからは反復練習。 ちょっとすると、僕はいつの間にかいつもの思考に戻ってしまう。 いつの間にか、また「時間がない」っていう意識に無意識に戻ってしまっているのだ。 そんな自分にまたはっと気づき、今に集中する。 また忘れる。 またはっと今に集中する。 そんなことを繰り返すうち、少しずつ、 「時間がない」という意識で埋め尽くされていた僕の心の中に、 「時間は十分ある」「うまくいってる」という意識が、陣地を広げはじめた。 と同時に、日常を喜びに感じる時間も増えてきた。 そんな心の中での反復練習みたいなことを、いったい何日何か月続けていただろう。 だんだんと今という時間にフォーカスする時間が多く、間隔が短くなってきたころ。 さて、不思議なことはそれから起こりはじめたのだ。 ふと、最近いつもゆっくりできている自分に気がついた。 いや予定外のことが起こったって、うまくいき出した。 そうなるとしめたもんで、僕は「時間が十分にある」「うまくいってる」という認識をほっといたって持てる。 それを強く認識するから、次の瞬間はもっと、うまくいっている状態を創造する。 これをポジティブスパイラルと僕は勝手に呼んでいる。 いったんポジティブな方向に創造のエンジンが動き始めたら、あとは特に意識しなくても、半自動的に時間がたっぷりある状況、うまくいく状況が目の前に連なりはじめる。 時間が十分あるように、うまくいくように、宇宙が、素粒子が、勝手に調整してくれる。 自動操縦モード、と僕は思ってる。 僕が自分の時間を取り戻していった背景には、そんなエピソードがあった。 この一連の件以来、僕は 「意識が自分の体験する現実を創ってる」 そう、確信を深めた。 そしてそれは、すべてのことに応用がきくのだ。 |