意識的に生きる(6) 〜コップの半分の水〜
2007年12月14日
僕はよくコップの水の話を使う。
コップに半分、水が入ってて、 「半分しか入ってない」と思うか、「半分も入ってる」と思うか。 割と有名な話だから、知っている人も多いはず。 前にある人から、相談を受けた。 Aさんは中間管理職。 職場にBさんという部下がいる。 Bさんはまじめだが仕事がゆっくりで、仕事がたくさんあっても変わらずゆっくり。 Aさんからしてみれば、おかげで仕事の段取りは狂うし、納品に間に合いそうになかったりで、いつもイライラ、ホトホト困るらしい。 仕事がゆっくりだ→Bさんはよくない だから、Bさんは変わらなければいけないと一生懸命AさんはBさんを変えようとしてきたらしい。 ところがいくら変えようとしても変わらない。 Aさんは疲れ果てて、相談に来た。 意識的に生きようと思うとき、物事の捉え方は大切だ。 今をどうとらえてるかという意識が次の瞬間の現実を生み出すから。 物事を僕らが見て感じたとき、ほとんどの場合、ただの事実にその人の価値観が無意識にくっつく。 無意識に、それもたくさんね。 コップの話でいえば、「コップに半分水が入っている」という事実があるだけで、それ以上でもそれ以下でもない。 そこに、それが足りてる足らない、多い少ない、いい悪い、と比較や判断をして意味をつけてる自分がいる。 Aさんの場合、実は、Bさんが仕事をしているという事実があるだけだ。 それが「ゆっくり」だというのは、Aさんの中にある仕事の速度と比較して、というだけだ。 違う物差しをつかえば、速い仕事かもしれない。 そして「ゆっくりだといけない」という価値観も潜んでいる。 「もし間に合わなかったら」というまだ来てない未来への恐れも潜んでいる。 効率よくやらなければいけない、利益が薄くなる、間に合わなかったら迷惑をかける、評価が下がる・・・・。 そして、 Aさんの、「もし間に合わなかったら」という恐れが、「間に合わない」という現実を創造し引きよせ、Aさんは「間に合わない」体験をした。 Aさんの「ゆっくりだと段取りが狂う」という意識が、「段取りが狂う」という現実を創造し引きよせ、Aさんは「段取りが狂う」体験をした。 意識が体験を創り出してることに気がつかないうちは、 普通、体験によって人は価値観を深める。 ほんとは逆なんだけど。 だからAさんは当然、仕事が遅いとやっぱり「間に合わない」と思いを深めた。 「段取りが狂う」「うまくいかない」と、「遅いことはいけないことだ」と、 さらに強く認識した。 その認識がさらに次のそういう状況を呼び寄せる。 そしてやっぱりBさんが悪い、とBさんを変えようとする。 否定する。 Aさんはイライラがつのり、語気が強まる。 職場内の空気が悪くなる。 職場の仕事がうまくいかなくなる。 評価が下がる。 Aさん、キレる。 Bさんもキレる。 社会のいたるところで見かけるネガティブスパイラル。 相手が悪い、状況が悪い、運命が悪いと原因を自分の外だけに見る限り、 問題は永遠に解決しない。 場所を移っても、人を変えても、今度はEさんとの関係で同じ経験をする。 シチュエーションは違っても、同じイライラを体験する。 あるいは、自分の子どもとの中で。 問題の原因が外にある限りは、自分の思うようにはならない。 思うようにならないから、苦しむ。 だけど、問題の原因が自分の中にあると知れば、答えは簡単だ。 自分を変えれば、すべてが解決するんだから(^^)!。 自分次第でどうにでもなる。 すべてに手が届くのだ。 (だけど、自分を否定しても、また別の問題が発生する。 ややこしくなるから、その話は、また別の機会に譲るとして、) 自分の視点が求めない現実を生み出してるのならば、 まずは視点を変えてやればいい。 そのときに「コップの水の話」は役に立つ。 ストレス、不足、怒りを感じたときはチャンスなのだ。 その裏には必ず何かの思い込みがある。 一方的な視点がある。 自分が無意識に思い込んでいることを、意識して見つめてみると、必ず他の視点も見えてくる。 どの人も、どんな物にも出来事にも、必ずプラスとマイナスの両面あるんだから。 どちらにフォーカスするか、焦点をあわせるかで、ものごとはまったく違った展開をみせる。 Aさんの場合、 もし、Bさんがいなかったら? Aさんは二人分仕事をしなけりゃならない。 新しい人を入れたって、また一から仕事を教えなきゃならない。 ということは、まず慣れた人がいてくれるだけで、ありがたい。 そしてきれいで丁寧な細かい人がいるのは、いいことだ。 職場の人間がみんな、仕事は速いけどやりっぱなし散らかしっぱなしの人間だったら、職場はすぐにぐちゃぐちゃになる。 実際、Aさん、仕事は速いが、あとはちらかしっぱなし、よくBさんが片づけてくれたりしてたらしい。 さらにお客さんの視点から見れば、仕事が速かったかどうかは関係ない。 品物の包装のていねいさ、きれいさに何かを感じたりするものだ。 Bさんの仕事は他の人の仕事よりも、顧客の心をつかんでたかもしれない。 コップの水の話は、Aさんにとっては目からうろこの話だったようで、 Bさんを違う視点で見れるようになったようだ。 視点を変えると、Bさんの存在がありがたいなあと思えることがたくさん出てきた。 ありがたいなあという意識が、ありがたいなあという現実を創造する。 ありがたいなあと思えると、不思議なことにうまくいくことがどんどん出てくる。 AさんにとってのBさんは、仕事がきれいで丁寧で、言ったことはきちんとするし、今では言うことないらしい。 ここまでは、なんだただのポジティブ思考の話じゃん、て感じなんだが。 この話はさらに深まる。 次回、ポジティブ思考の落とし穴。 続く・・・。 |