時間どろぼう(1) 〜複利計算という名の虚構〜
2008年11月29日
もう何年前になるだろう。
エッセイに時間どろぼうの話、ケーキの値段の話を書きました。 http://oh-shita.com/slowlife/essei/7.html http://oh-shita.com/slowlife/essei/8.html もし時間が許せば、ちょっとこの2つのエッセイを読みなおしてもらいたい。 この続きを何回かに分けて、書いていこうと思うから。 僕らが自分の時間を、 ひいては自分自身を取り戻していくには、 そして世界をもうちょっとフェアな世界にしていくためには、 僕らが何気なく使っているお金のことをもうちょっとよく知る必要があると思うから。 ケーキの値段で、商品の価格に含まれている利子の割合、誰か頭のいい人計算してくれないかなと書きましたが、 計算した機関があったみたい。 ドイツで行われた調査では、2〜4割が利子だったということ。 そこらへんのことも含めて、今月のぶちの原稿にお金のからくりという題で書いたので、転載します。 以下、転載。 お金のからくり(1) 〜複利計算という名の虚構〜 アメリカ発の金融恐慌。 先行き不透明な不安感が、世界中を覆っている。 しかし、その根底には、多くの人が気づいていないお金のからくりがある。 借金といえば、利子がつく。 たとえば今、100円をあなたに融資する。わずか3%の複利の金利で。 500年後、みなさんの子孫が返さなければならない金額は? 答えは、2億6千万円! 天文学的な数字になる。これが複利計算のトリックだ。 利子が利子を呼び、長期になるほど巨大な負担(利益)が生まれる。 もしこれが単利計算だと、毎年3円しか増えないから、500年たっても1500円だ。 私たちの消費活動にはすべて、この複利計算が含まれている。 家を買う時も事業資金を借りる時も。 たとえば、住宅購入資金の3000万円を、現在の低金利の年利1.7%として35年ローンを組んだ場合、35年間の総支払額は3982万5513円となる。 約1000万円、33%もの利子。 そして、あなたが借金をまったくしていなくても、 すべて商品の価格には、これらが含まれているのだ。 人件費の中に、材料費の中に、すべての経費の中に。 ドイツで行われた調査では、商品価格の内、平均して20〜40%は利子ないし資本だった。 私たちは「買う」という行為をとおして、常に余分に支払っている。 そしてその分、余計に働いているのだ。 お金も時間も。 もし世の中の資本調達が単利計算だったら、 生きるのに必要なお金は3割少なくてすみ、3割時間が増える。 私たちは気付かれないように少しずつ搾取されている。 そして、誰かのところに富は集中していく。 断っておくが、銀行業に従事している人を責めているわけではない。 彼らの多くは、いたって真面目な方々であり、むしろシステムの被害者だ。 では、富はどこへ? そして、経済上の数字はすべて複利で計算されることがさらなる問題を招いていく。 これが、現在の世界経済の根底に横たわる大きな問題なのだ。 しばらくは、この問題を少しずつ取り上げていこう。 |